よく耳にする話では、妊娠の報告は安定期に入ってからとか、心拍が確認されてからとか言われます。
2013年の理学療法士協会の調査によると経産婦の5人に1人が切迫流産を経験していたことがわかりました。
引用:女性理学療法士とキャリアデザイン 就労環境とその問題点 清宮清美 理学療法学 第40巻第8号706~707頁(2013 年)
妊娠、出産は病気ではありませんが、予想外の事が普通におこります。
順調に経過する方が奇跡なんじゃないかと思うくらいです。
このようなデータからも、理学療法士・作業療法士として働く女性は、妊娠が分かった時点で会社や所属先に報告するのが望ましいと考えます。
理学療法士や作業療法士は立ち仕事が多く、歩行や移乗の介助などの重労働が多いため、体に負担がかかりやすいからです。
また、早めに報告する事で、患者さんの引き継ぎも段階的に進めて行くことができます。
Contents
女性理学療法士が妊娠したら、やるべき5つのこと
子育て経験のある女性理学療法士、作業療法士に相談する
子育て経験のある理学療法士、作業療法士が在籍していたらさらに心強いです。
子供が欲しいと思っている時点で、何気ない雑談の中で相談しておくといいかもしれません。
上司には言いづらくても、同じ女性であるママさんセラピストには相談しやすいと思います。
私の場合は入職した時とほぼ同時期に結婚したので、
「今すぐではないですが、将来的に子供が欲しいと思っています」
と正直に伝えました。
転職を考え、現在働いている訪問看護ステーションに見学に行った時に、子育て中の看護師やセラピストが多かったのも決め手のひとつでした。
将来をイメージをしながら、職場環境を冷静に判断することも大切
例えば、あなたが将来結婚して子供が欲しいと思っていたとします。
今勤めている職場は、結婚・出産・育児をしながら働き続けることができそうですか?
- 残業が多すぎる
- 休日出勤が多い
- 休みがとりづらい
- 結婚して子供ができたら、みんな辞めていく
こんな状況だったら要注意です。
今いる職場の現状をみながら、自分が想い描く将来を常にイメージするのが大切です。
残念ながら、私が元々勤務していた職場では残業が多すぎて、働きながら出産育児がイメージできませんでした。
行動力がある人なら、職場の環境を変えることにチャレンジしてみるのもいいですね!
妊娠がわかったらすぐに報告、相談する
私は1人目も2人目も妊娠が分かった時点ですぐに報告しました。
そして、介助量の多い患者さん、歩行介助などは他のセラピストに担当を変更してもらいました。
私は訪問看護で働いており、しかも個別担当制だった。
ですので、利用者さんにも引き継いでもらうスタッフにも申し訳ないな…悩んでいました。
ですが、日頃から相談にのってもらっていた先輩のママセラピストが、上司と私の間に入ってくださり、速やかに担当の割り振りをおこなってくれたのです。
利用者さんには正直に理由を話しました。
利用者さん自身が子育て経験があったり、世代的にお孫さんがいたりするので、快く了解してくれる方ばかりでした。
迷惑かけるからと安定期に入るまでは…と隠さずに、正直に話すほうが良いと思います。
今、回復期などでは1人の患者さんに対してチームを組んで、複数担当制になっているところも多いようですね。
そのような環境だと、妊娠出産を望む女性セラピストにとっては良い環境かもしれませんね。
訪問リハでも複数担当制でやっている事業所が多くあるので、転職を考えるなら確認しておきたいポイントですね。
赤ちゃんも担当している患者・利用者さんも守る選択を
特に妊娠初期は不安定です。
私も妊娠初期に何度か出血したりして青ざめたものです。
そして、つわりの酷さも人それぞれ。
つわりが重くて栄養がとれなかったり、切迫早産で初期から入院生活を余儀なくされた友人もいます。
予定日よりも2ヶ月も早く出産してしまった友人も…
そして、患者さん利用者さんの体調も想定外のことがおこりうることがあります。
普段は自立、見守りレベルの方でもいつ体調の変化がおこるかわからないのです。
私が実際に経験したことです。
お一人暮らしの利用者さん。
普段は日常生活動作もほぼ自立されていたので、私は引き続き産休まで担当を継続することになりました。
ある日のこと、訪問すると床にうずくまっていたのです!!
「トイレに行こうとしたら足がたたなくて・・・」
身体に触れると明らかに発熱が!
その時は、担当看護師に連絡を取って急遽駆けつけてもらい、事無きを得ました。
普段はできていてもちょっとした体調の変化で、動作が不安定になったり、できなくなってしもうことは普通にあるのです。
もし、自分が訪問中や施術中に、患者さんや利用者さんに異常が認められたらどうするか?
というのをしっかり確認、シミュレーションしておくことも大切だと思います。
感染症に気をつけよう
これはどのような環境にいても注意しなければならない事ですね。
特に病院勤務だと感染症のリスクが高くなります。
基本的なところですが、うがい・手洗い・マスクは必須です。
歯磨きもこまめに行いましょう。妊娠中は虫歯や歯周病になりやすいですし、口腔内を清潔にしておくことで感染症も予防できます。
妊娠中は身体の変化に加え、仕事をしていると本当に疲れてしまいます。
ストレスを貯めないように、しっかり眠って休む時はしっかり休みましょう。
家事は出産前から夫婦で分担するうにしよう
妊娠中は自分自身の身体にも不思議なくらい、今まで起こらなかったことが起こります。
元々アトピー性皮膚炎がある私は、妊娠中にとても酷くなってしまい、顔も真っ赤になってしまいました。
マスクで隠しながら、仕事、外出していました。
そんな生活で恥ずかしいやら辛いやらで、妊婦検診の時に緊張の糸が切れて号泣してしまいました。
「顔も真っ赤で外に行くのも恥ずかしい。仕事から帰ったら疲れて家事もまともにできない。情けなくて。。。」
今思えば、マタニティーブルーみたいになっていたんだろうなと思います。
すると先生が
「家事なんてしなくていいのよ!食べ物なんてスーパーで売ってるんだし、少々散らかってたっていいのよ。旦那さんに任せて!」
その言葉でどんなに私の心が軽くなったか。本当にうれしかったのです。
赤ちゃんが生まれたら生活は一変します。
小さな小さな赤ちゃんですが、周囲の大人を振り回します。
パパの協力は必須です。生まれる前からしっかり協力してもらいましょう。
おわりに
私も妊娠中に、職場の同僚や先輩に助けてもらいました。
なので、自分も未来のママさんセラピストにとって働きやすい環境を作りたい!と自然に思うようになりました。
優しく親切にしてもらえたなら、ぜひ次にママになるセラピストに親切にしてあげてください。
悔しい思いをしたのなら、次にママになるセラピストのために、優しさの連鎖起こす初めの人になってください。
後に続く女性セラピストが妊娠出産しても、働きやすい環境を作っていきましょう。
私は今の事業所の中で初めて産休と育休を、2人分とりました。
その後、前例を作っていたので、パートの看護師さんも育休をとることができました。
実績を作れば、その後に続くスタッフも産休育休がとりやすい環境に変わっていきます。
そして、医療・介護業界も患者さん、利用者さん、スタッフ。すべての人にとって優しい社会になることを願っています。
