育児

もしかしたら自分も?発達障害”グレーゾーン”の狭間で悩む人が多い理由

今回は書評&感想です。

発達障害グレーゾーン 姫野 (扶桑社新書)

先日NHKでも特集されるようになった「発達障害」。
注目度は世間一般にも広がっているなと感じます。
そんな中もしかして自分も発達障害なのではないか?と感じる人が増えてきています。
発達障害は診断基準が何度か見直され、知的障害がある人から高学歴の人まで幅広い人たちが含まれています。
特性は個別性や個人差が大きく、定型発達との境界線すらあいまいな部分もあり、ここからここまでが障害とは言い切れない難しさがあります。
今回読んだ本は何かしらの特性があり、社会生活にも困りごとが生じているのに診断がつかない「発達障害グレーゾーン」の人達について当事者の目線から切り込んだ内容となっています。

発達障害グレーゾーンを取り巻く現状

ADHD(注意欠陥・多動性障害)
ASD
(自閉症スペクトラム症)
LD
(学習障害)
この3つの障害をまとめて発達障害と呼びます。

この3つもはっきりと分類できるわけではなく、ADHDとASDの特性を併せ持っている人など各障害の境界線もはっきりしないところがあります。

うちの娘はASDの診断がついていますが、ADHDの特徴もあるかもしれないね、とも言われていて実際のところはよくわかりません。

筆者は発達障害グレーゾーンの人達を「グレさん達」と呼んでいます。

グレさん達は自分の症状を自覚し、診察を受けに行ったり検査を受けるのですが、診断基準には当てはまらないと診断名がつかないことも多いのです。障害と名前がつくことが怖くて見診断のまま社会生活を送っている人もいるようです。

発達障害の診断は難しい

診断の難しさと障害と名の付くものに対する世間の目を感じました。

「発達障害者支援法」が2005年に施行されています。
つまり日本では14年の歴史しかないということです。
施行直後から支援を受けていた子供がようやく社会に出始めるころです。

今は早期支援が声高に言われていますが、今行っている支援の成果が出始めるのもこれからなのです。
「発達障害」という名前は有名になってきましたが、私はまだまだ十分な実績がでていない領域なんじゃないかなと感じています。
だからこそ専門家の中でも診断基準が揺らいでいたり、療育などの支援方法も様々なものがあり一体何が良いのだ?!と本人も親の不安も大きいのではないでしょうか。

個人が世間のイメージに振り回されているのもグレさん達が困りごとを隠して働く理由なのではないかと思います。
昔は障害者が虐げられてきた歴史があります。現代においてはどこか感動の対象のような表現の仕方をされていることもあります。
そして、発達障害に関してはすごい才能の持ち主だというイメージ。

言われますねー、アインシュタインだの、スティーブ・ジョブズだの。
うちの娘はたぶん凡人です。ただ聴覚の過敏さは良さでもあるのかなと思って、ピアノを習わせていますが練習しないしない(笑)
こういうのも親のエゴですかね。

そういった作られたイメージに、まだまだ多くの人たちが振り回されているのかもしれません。
グレさん達はとても自己肯定感が低いのです。
忘れ物が多かったり仕事でミスをすることも多く、怒られる経験が多いからです。この事は私が子供達を育てていく上でもとても重要だと思い、180度考えを改めたところです。
私も人間ですのでイライラして怒ってしまうこともありますが、褒める・いい所を見つけるのは常に意識するようにりました。
育児だけでなく夫婦、他者、理学療法士として仕事をする時にも意識するようにしています。

グレさん達は自分が発達障害かもしれないと思いながらも、そのことを会社に隠して働いている人が多く、その経験談が多く書かれていました。怠慢だといわれることに怯えて、迷惑かけまいと必死に頑張るグレさん達の苦しい気持ちと努力が伝わってきました。

いっそのこと診断が下りてくれたほうが楽になるのではないか。
クロともシロとも言えない、どこにも属せないグレさんの達の苦悩がみえました。

私も娘に診断がついてほっとしたことを覚えてます。
しかし、じゃあ次のステップはどうしたらいいのか?診断がついても娘の困りごとはすぐになくなるわけでもなく、成長していく娘にどのように教えたらいいのか?私の手を離れて自立させていくには?
診断がついても困りごとの根っことは付き合っていかなければならないのです。

結局のところ悩みはつきないのではないかなと感じました。

自己理解が必要

何に困っていて、何が不得意で、何が得意なのか。
まずは自分を知ること、助けて欲しいところはどこなのか。
自分の特性を隠して働いていて、自己肯定感も低くなってしまっているグレさん達のなかで、どれだけの人が自分の苦手をさらけ出して、手伝って欲しいと言えるのかなと感じました。
LITARICO
ワークスという就労支援事業所のスタッフさんの話が載っています。
リハビリ業界でも最近就労支援事業に携わる療法士が増えてきており、興味深かったです。
自己理解といっても自分で自分を評価するのは難しいものです。 私自身も自分のことを理解しているかと聞かれたら、答えはNOです。
特にASDだと自分の気持ちにも気づきにくいところもあるので、今後もサポートしてくれる事業所の存在が重要になってくるのではないかなと思いました。

共感と問題解決のノウハウ

グレーゾーンの人たちが集う茶話会が紹介されていました。
悩みを共感できる場はとても大切です。困難さを何とか克服しようと編み出した独自の方法は同じ悩みを抱えた誰かの役に立つものです。
SNS
で当事者さん達の発信をみることは、私が娘が感じている世界観を理解する為にとても役に立っています。
この本で紹介されていたノウハウは、発達障害かどうかは関係なく、色んな人に役立つライフハックではないかなと感じました。
体が不自由な人が使えるようにユニバーサルデザインの施設や物が増えてきています。
発達障害の人達やグレさん達が編み出したノウハウは、そういった作業方法のユニバーサルデザインになりうるような可能性を感じました。

まとめ

発達障害のいう名前は世間に広がってきているとは感じますが、診断の難しさゆえに、グレーゾーンというあいまいな領域の中で悩む人たちがいることがわかります。
自分ももしかして?家族がもしかして?そう感じたことがある方はぜひ読んでみることをおススメします。

 

 

こちらの記事もおすすめ!

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です